高野山真言宗 妙見山 日光院 住職 日光診療所 院長 森田龍親
宗祖 弘法大師は、当時の最新、最先端の科学や医学などを唐の都で習得されて日本に持ち帰り、真言密教という思想をもとに、祈りという形を通してそれらの実践として各修法や民衆教化、教育をされ、今日まで多くの民衆をお救いになられているのだと思います。
いま、我々僧侶に求められるもので一番大事な事は、まずはお寺で本尊様に疫病退散を祈る事ですが、これは既に日々其々で行われています。
次に私達僧侶に出来ることは、檀信徒の皆様に今回の新型コロナ感染症に対して、いま出来る最も大切な事を心からしっかり伝える事だと思います。
『集まらない、近づかない触らない、空間を閉じない』人と人、それぞれ出来れば2メートル以上の距離を取り、閉ざされた空間で集まらない、接触しない、いつ何時もマスクは絶対に忘れない。マスクは、本尊様に息をかけない為に、特別な時には必ず着けますが、今回は人と会話する際に、最低限のエチケット、マナーにもなります。
各ご寺院様と檀信徒の関係は、市役所と市民の関係ではありません。
マスコミやネット情報の様に、三人称の出来事や形式的なお願いではなく、お寺にとっての大事なあなた、二人称としてのより強い『お願い』を届けられる存在がお寺さんでは無いでしょうか。ご先祖様の一番の願いは子孫の健康に他なりません。
新型コロナウイルスは、人から人にうつり、その感染力は、病院で最新の道具と細心の注意を払っても、恐ろしい事に、いとも簡単に医療従事者に感染するのです。しかもまだはっきりと正体は分かっていません。
お大師様が、この現代にいらっしゃったら、どうしたら民衆が三密を守ってくれるか、その為に奔走し実践し教化されていると思います。誤解を恐れず言いますと、感染者がまだいないから、祭り事、祀り事を、三密守らずに修法する事は、弘法大師の教えにむしろ背く事にもなり兼ねないと思っています。
お寺から、ご住職様から、どうか檀信徒の皆様に、不要な外出をせず、三密を守って頂く様に自ら実践、そして情報発信(檀信徒教化)をお願いします。檀信徒の皆様、周囲の大切な人に、大事な事を心からお伝え下さい。
新型コロナウイルス感染症は、ただの流行り病などではなく、人類の試練、いや危機というべき重大な事態なのです。